PAKKERINO///2017/04 『ババヤガー森で見聞きしたこと』

 ババヤガー森は、庭屋敷町のはずれにある人気のない森。マトリョーシカの娘さんたちがよく遊びに出かける十二月森とはずいぶん様子が違います。湿った地面は苔におおわれて、木々にはサルオガセが幽霊のヴェールみたいにぶらさがり、巨大な石が組み合わさったトンネルをくぐって奥へすすんでいくと、そこはもう、いったいどこだろう。ババヤガー森には鳥もけものもいないはずなのに、かすかな声がきこえてくるようでもあって、好奇心のかたまりであるマトリョーシカの娘さんたちは、森に踏み入っていくけれども、それはかならずひとりでなければいけない。それはババヤガー森のきまりで、年若のマトリョーシカの娘さんたちは年かさのマトリョーシカの娘さんたちから聞いて、年かさのマトリョーシカの娘さんたちが誰からそれを聞いたかというと、それはたぶん、生まれつき知っていること。なぜ、ひとりでなければいけないか。誰かと一緒に森の中へ入ったらどうなるの?PAKERIの鳥の巣頭はこの話をおどろおどろしく語るのが得意なのだけれど、チョコレートの好きなテントウムシにそう訊ねられたら、こう答える。「どちらかひとりが、森にのみこまれてしまうんだよ」声を低くして、目を光らせて。まるで黒猫のめぴかちゃんみたいに。
 四月のパケリは『ババヤガー森で見聞きしたこと』。森にのみこまれたマトリョーシカの娘さんたち(彼女たちは彼女たちで、うまくやっていくのです)や、モケ刺繍/苔刺繍、je suis mepika.(私はめぴか)が登場します。