終わらない王国(鳥の巣頭とナートルーダ、それから昏い目のカエルたちに立派な眉のてふてふ嬢、三角耳の秘密屋と草花)

四月は目覚めの月とはよく言ったものです、と鳥の巣頭は白粉餅へ手紙を書きます。瞬きをするごと、世界が変わっていく気がします。というのは、きのうは黒々とした地面だったものが今日には緑をまぶしたようになり、それは草花の芽生えで、数日後には花が咲いているといった具合だからです。鳥は歌いながら巣作りの場所を探し、虫はせわしなく壁を這い、あるいは飛んで花粉を運んだりして、生命の密度はますます濃くなる。薬草めいた匂いのユキヤナギは散って、葉桜の季節にヤマツツジは花の壁のように山の斜面を覆います。あたためられた地面から立ち上る香気にすっかりやられて、どこまでも歩いて行ってしまいそうですが、語りかけてくる声があって、ようよう立ち止まり、耳を傾けます。声の持ち主は彼ら、目覚めた春の命たちで、冬の間に見ていた夢を語ろうというのです。